Navidad del Paraguay

 2004年,今年もあと少し。日本では地域によっては“ホワイト・クリスマス”,地球の裏側パラグアイは暑い暑いクリスマス。暑いのにショッピングセンターにいるサンタクロースは日本と同じ暑苦しい格好で座っています。

 今回はパラグアイの代表的なクリスマスソングをご紹介します。
幼い頃に暮らしたパラグアイのクリスマスを懐かしんで創られた曲です。パラグアイのクリスマスを想像しながらご覧下さい!


ココの花

ノスタルジー(郷愁)が創りだした香り

 1931年8月24日,ブエノスアイレスを出発したMercedes Janéとその母Maria Josefina Mata de Bobilloはアスンシオンに到着した。未亡人の叔母がパラグアイに数日または数ヶ月を過ごしてもらうために招待したためであった。
しかし彼女はその生涯をパラグアイで過ごした。

 1915年7月8日ブエノスアイレス,バヒアブランカで生まれたJaneはすぐにボリビアとの血なまぐさい戦争の光景に出くわした。彼女の町の住民が戦渦に見舞われたわけではないが,彼女はこの戦争を強く自分の事のように思っていた。そんな彼女だからすぐに負傷者が収容されている病院に駆けつけた。
彼女の役目は身体を癒す事ではなく兵士の気持ちをその家族への手紙に書き綴る事であった。

 彼女はただ病院に漂う悲しみとともに漠然と過ごしていたのではない。
野営用テントで催されるお祭りには彼女の歌声と詩の朗読を聴くためにたくさんの若者がやってきた。

 その後ブエノスアイレスに戻った彼女は看護婦の勉強に励み,8年間アルゼンチンの都市で看護婦の仕事に専念した。そして結婚,彼女の夫とともに彼女の生まれ故郷に帰った。

 1950年,彼女はチリのサンティアゴに向かった。彼女はあるラジオ局で“母の言葉“という番組を持つようになった。台本は彼女が考えた。
その他子供達のために1年間芝居も上映した。このように少しずつ詩や文学の世界に引き寄せられていった。

 1951年クリスマスも近くなったある日。彼女の詩人としての生涯にとって重大な事が起こった。言いようのない悲しみが彼女を襲い,胸を締め付ける。幼い頃一時を過ごしたパラグアイのクリスマスが懐かしくて仕方がない。
パラグアイに戻りたい。パラグアイでクリスマスを過ごしたい。しかしラジオ番組の契約は来年の6月まで残っているので戻る事はできない。
彼女は道端で人目も気にせずに泣いた。

すると突然とても奇妙な事が起こった。
サンティアゴの街中にココの花の香りが漂った。彼女は町のあちらこちらを見回した。「パラグアイにしかない香りを私は感じた。こんな事があるのだろうか?」絶対にこんな事はない,この街にはココヤシがないのだから。そしてまた辺りを見回した。道行く人の手や顔を,何かを探しだすように眺めた。

 何も見つけられないまま近くの喫茶店に入った。そして紅茶を一杯注文した。
注文した紅茶が運ばれてくる間,彼女は喫茶店の紙ナプキンに一気に
“Navidad del Paraguay”を書き上げてしまった。
「今思えばあの時に書いていたのでは私ではなく神様が書き上げてくれたのだ。ただの一行一句の訂正もなく書き上げられたのだから。」
こうしてこの詩は生まれた。

 一体あの時に何が起こったのだろう?現実にサンティアゴにはココの花がない。彼女のそれまで生きてきた歴史の中で,無限に近いパラグアイへのノスタルジー(郷愁)がココの花の香りを創り上げたのだ。そしてその郷愁の強さがこの詩を書かせたといえる。

 彼女は語る。「あの時に書いた詩がそれからの生涯で書き続けた作品をもたらせてくれた。」
彼女の夫
Juan Janéはその詩をオーケストラの指揮者であるEsteban Morábitoに持っていった。彼は置いていってくれとだけ言った。
次の日彼は彼女の家を訪ねピアノの前に座り,彼女の詩
“Navidad del Paraguay”のための曲を披露した。1952年の後半の事であった。
彼女の夫はこの曲の楽譜を作成した。ある男性がブエノスアイレスにこの楽譜を持って行き,そこで
Ana María Cachitoという歌手がLucio Milenaオーケストラの演奏で録音した。レコードはパラグアイに持ち込まれた。それを聞いたJohnny Toralesは3年間クリスマスの時にこの曲を歌い続けた。
その後
Los tres sudamericanosのメンバーが新たにこの曲を録音し世界に広めた。メキシコではクリスマスキャロルの賞も受賞した。今ではたくさんの人たちがこの歌を唄うようになった。

 それから数年後,パラグアイ議会は彼女に名誉市民権を授与した。その事は今でも文書に残されている。
毎年クリスマスの時期,この詩はパラグアイ人の心を感動させる。
そして彼女はずっと以前からパラグアイ人であった。

Navidad del Paraguay

Navadad de flor de coco,
Navidad del Paraguay!.

Ya esta el pesebre adornado el niño en su lecho esta
la Virgen vela su sueño,su sueño de eternidad!.

Los ángeles cantan !Gloria!, las estrellas brillan más,
el jazmín pone su aroma,la luna su claridad!.

Navadad de flor de coco,
Navidad del Paraguay!.

No te olvides niño mío de poner en su lugar
reyes y los tesores y la estrella de la Paz!.

El burrito, la Vaquita, la ovejita, el picaflor
y sobre todo, alma mía, pon todo tu corazón!.

Navadad de flor de coco,
Navidad del Paraguay!.

Las campanas de la iglesia a misa llamando están,
todo el puebro paraguayo con fervor va a comulgar!.

Ya están sonando las doce, Noche Buena sin igual
que trae a un niño bendito a salvar la humanidad!.

Navadad de flor de coco,
Navidad del Paraguay!.


パラグアイのクリスマス

ココの花のクリスマス
パラグアイのクリスマス!

クリスマスの飾り付けを済ませた子供達は既に寝床に入り
聖母マリアがその子らの夢を見守る
その子らの夢は永遠!

天使達が“Gloria”を唄う
星達は輝きを増し,ジャスミンは香りを漂わせ
月は辺りを照らす!

ココの花のクリスマス
パラグアイのクリスマス!

子供達よ,忘れないで!
あなた達のそばに国王夫妻,宝物,そして平和の星を置くことを!

ロバの子,子牛,子羊,ハチドリ
そして特に私の魂,あなた達の心の全てを!

ココの花のクリスマス
パラグアイのクリスマス!

ミサを告げる教会の鐘がなる頃
全てのパラグアイの人たちは熱心に聖体を受ける!

もう12時の鐘が鳴り
クリスマスイブに人類を救う聖人の子がやってくる!

ココの花のクリスマス
パラグアイのクリスマス!


Navidad del Paraguayが収録されているCD
-Navidades: Nicolás Caballero


軽井沢珈琲倶楽部